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竹と向き合う

更新日:2019年2月8日


山鹿の八千代座にほど近い、古い長屋が立ち並ぶ町並みの中にある一軒のギャラリーを訪ねました。

元畳屋だったという建物。古い造りがそのまま残り、時間が止まったかのような佇まいのそのギャラリーの奥に店番をしながら製作をされている竹工作家の木部大資さんの工房があります。



材料は煤竹と真竹、孟宗竹を使われています。

古い茅葺き屋根に使われていた煤竹は将来的に確実に減っていく限りある貴重な材料です。

その貴重な材料の中から割れたものなど使えないものを除き状態の良いもので使えるのは半分くらいなのだそうです。さらにその中でも箸を作れる厚みのある煤竹は僅か。



長い年月、囲炉裏の煙で燻された竹は表面に油分を含み水分が沁みにくいのでカビにくく、虫がつきにくいので丈夫で長持ちするのが特徴です。

表面は上品な飴色で時間が育てた奥深さがあります。長年茅葺き屋根の骨組みとして支えてきた竹がその次にまた何年も何十年も使い続けられる道具へと生まれ変わる。

その背景までも見えてくる気がして感慨深く感じました。


真竹、孟宗竹は木部さん自らが山へ採りに行くそうです。

しばらく乾燥させたのち、炭火で竹を炙り浮き出た油をふき取っていく「火抜き」という昔ながらの工程で油抜きをします。

材料作りまでの工程だけでもとても手間がかかりこうやって出来上がった材料の中からも傷やシミのない部分だけを選別し使える部分はそう多くないそうです。



作るものによって小刀や鑿、鉋を使い分け形作っていきます。

鉋は様々な大きさのものをご自分で作られていました。親指ほどの大きさの鉋も。

仕上げに椋の木の葉やトクサで滑らかに磨きようやく出来上がります。

道具にまでもひとつひとつ拘りを持って作り上げられています。



穏やかで柔らかな印象の中にも強い意志を感じる木部さん。

とても簡単ではない工程を経て作られている竹の道具に、その妥協なき姿勢が表れているような気がしました。



軽くて手馴染み良く挟みやすい木部さんのお箸や道具たち。

店頭で手に取っていただけます。

ご自身やご家族へ少しずつ買い足していくのも楽しみとなり日々の暮らしへの糧にもなることでしょう。


熊本県山鹿市山鹿1371

定休日:火曜日

11:00~17:00

 
 

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